ワンピースの百計のクロについて解説&かなーり独自の考察していきたいと思います。
私は過去に映画や演劇について勉強しておりました。その為、世の中に出回っていない超独自の視点で『なんだそりゃ?聞いたことないぞ!』と思われるような良くも悪くも信ぴょう性の低いエンタメ重視な解説をしていきたいと思います!事実や制作者の意図とは異なる部分もあるかもしれませんが何卒ご容赦ください。
それでは、まず、オーソドックスに百計のクロについて解説してまいります!
アニメワンピースで百計のクロが登場したのは第9話、ウソップの初登場と同じタイミングです。当時のルフィの仲間はゾロとナミの二人だけ、乗っているのもただの小舟です。

グランドラインへ行くための船と食料を探してフラっと立ち寄った島で第一村人であるウソップと遭遇

他の考察記事でも述べますが尾田栄一郎の作品や集英社の王道少年漫画は基本的には西部劇と司馬遼太郎をミックスさせるスタイル、ワンピースはその集英社の流派の中でも特に西部劇のカラーが強いです!
流れ着いた島で騒動に巻き込まれながら、出会いと別れを繰り返していくのがワンピースの物語となります!
変わってるけど意外と良い奴⇒仲間候補、昔は凄かったおじいさん、お金持ちや王族、特別な能力の持ち主⇒ワンピースや島の秘密に繋がる重要人物、人気者だけど陰では悪巧みしている⇒敵役
恐ろしく単純な人物関係図を延々と作り続けストーリーを積み上げていくのが尾田栄一郎のスタイル
この島でのキーパーソンはウソップ、クロ(クラハドール)、カヤ


このクロに焦点を当てて今回は解説していきます!
『映像表現から読み解くクロの本音』行ってみようと思います!(当記事ではアニメ版のワンピースを情報のソースとしています)
1クロは本当は心優しい男
2クロにとっての『計画』の本当の意味の考察
3ウソップとクロ、二人のうそつきの対比
4ワンピース、9話から17話に見る映像表現、演出面では最高峰のクオリティ
1クロは本当は心優しい男

↑ウソップ海賊団の3人に無抵抗に殴られているクロ、
クロといえば、自身が執事になりすまし3年がかりの計画でカヤを騙し多くの人々を傷付けた印象があります。
ウソップも『キャプテンクロっていえば海賊の中でも一番の頭脳派、それでいて残忍さも一番って言われてる奴だ』と言っています。
そんなキャプテンクロですが、作中での活躍を追っていきながら解説をしていきたいと思います。

海岸でジャンゴとの密会をたまたまウソップとルフィいに聞かれたものの、ルフィのせいでうっかりとウソップが見つかってしまうシーン
クロ『やあ、これはウソップくんじゃありませんか?』
ウソップ『うっわっはっはっはー、俺まで見つかっちまったじゃねえか!』

クロ『何か聞こえたかね?』

ルフィは催眠術で落下、その後、クロはウソップを見逃します
クロ『聞いた通りだウソップ君、君が何を聞こうと私の計画に支障はない』

ジャンゴ『大丈夫なのか?』
クロ『当然だ俺の計画は狂わない』
その場を後にするクロとジャンゴ
この一連のシーンなんですが、自分には違和感があります。
クロは計画にこだわりを持っていると自負しておりその為に3年間を費やしていました、もしも本当に『狡猾で残忍』通りのキャラクターなら計画を盗み聞かれたものを生かしておくと思えませんし、死体を放置しておくのもリスクがあります。ウソップといえども見逃すと思えないのです。そしてクロのスピードならウソップに追いついて捕まえることはとても容易かったはずです。
例えば、ウソップとルフィがクロの計画を盗み聞きして、クロに見つかったルフィだけが気絶して落下してしまう、ウソップはそれを陰からずっと隠れてみていて、一人で逃げ出した、そういう脚本にしてもあらすじに大きな影響はありませんし、『狡猾で残忍なクロ』『臆病だけど村思いなウソップ』という2人のキャラクターもより一層わかりやすくシンプルになります。
でもあえて、そんな合理的な展開にはしませんでした。クロはルフィの死体の処理もウソップに対する口封じもしませんでした。
そして最初にウソップを睨みつけた顔、みんなが去った後、無表情に水平線の先の海賊船を見つめる
まるで、クロがウソップを脅してこの場から戦わずに去るように仕向けているようにも見えます。さながらクロが誰も傷つけたくないかのように
これがクロの人柄を表すためのシーンなのではないかと、自分は考えて考察を展開しました。
仮説『クロは実は誰も殺したくないと思っている優しい男』
そうは言っても作中ではクロは多くの人を暴力により傷つけています。

↑執事のメリーさんに突然襲い掛かるクロ

↑敵味方問わず無差別に攻撃する杓子
クロ『この野郎、おとなしく切られてりゃいいものを、見ろ、貴様のおかげで中途半端に死にきれないかわいい部下どもが苦しむ姿、あのまま死ねた方が楽だったのに』
すこしづつルフィに攻撃が当たっていくが致命傷はない
ルフィ『お前は仲間をなんだと思っているんだ!』とのルフィの叫びに合わせて攻撃が外れだす

もしかしたらクロはこのまま杓子を続ければ、自分の力におびえてルフィ含めその場の全員が逃げ出して誰も死ななくて済むと考えていたのではないか?
それを裏付けるかのように、アニメ版ではクロの攻撃で死んだと確認できる人物は一人もいません


↑メリーさん、よく見ると額の傷跡はそこまで大きいものではない?
そしてメリーさん以外の執事はこの日は休暇で屋敷を離れていた

↑寝ているカヤに刃を突き立てているクロ、

クロはもしもここでカヤが目覚めれば、血の付いた武器と傷ついたメリーさんを見せて自分が海賊であることを明かして、この島から去っていくつもりだったのかもしれない、そうすれば事件が起こることはなくなるかもしれない、ただクロ自身が暴力を行う海賊に戻るつもりもなく、そうなれば海岸付近で待機させている自分の部下を島に近づけさせない為に殺さなければならないかもしれない

クロの武器を見て思い浮かぶのはシザーハンズという1990年のティムバートン監督の映画です、この映画ではジョニーデップ演じる人造人間のエドワードが主人公なのですが、手がハサミなんです。
エドワードはその純粋さゆえに恋をしますが、手がハサミなので愛する人を抱きしめることができない、抱きしめれば傷つけてしまう、そんなハリネズミのジレンマにもにたような葛藤がテーマとなる名作です。


葛藤し迷走してくクロの心理を表現したかのような素晴らしい演出、クロの進む廊下は奥がゆがんで傾いているように見えている、そしてクロが進んでいくほどにクロ自身も傾いていく
クロはなぜ素直でなく、もやもやとするような要素がありながらもそれを魅力的に見えるような演出が多くあるのでしょうか?今までは映像の演出面から脚本や字面以外の逆の心理があるのではないか、という考察をしてきました。しかしここであえて脚本からクロの登場人物としてのスルーラインを考えてみました。
クロに宿ったのは、とても強い後悔だったのではないか?

↑ジャンゴの催眠術によって自分のことをキャプテンクロだと思い込んだまま身代わりに処刑された部下、ヌギレ・ヤイヌ

クロは部下を自分の身代わりに処刑をさせて海軍の追跡から解放されましたが、
一時の自由とともにクロが得たのは強い後悔の念だったのではないでしょうか?

元々、クロは海軍相手に単身で戦い全滅させていたりもしました、それは仲間が戦わずに済むような戦い方です。海軍の追跡から逃れたかったのも仲間に被害が及ぶのをおそれたのかもしれません。その為に『ヌギレ・ヤイヌ』を犠牲にしたものの、それが正しかったのか、後悔し続けながら執事として3年間を過ごしていたのかもしれません

クロというキャラクターはそんな暴力と切っても切り離せない海賊のネガティブな一面に葛藤している等身大の人間のようにも思えるのです。ルフィはその点については既に完全に割り切って達観しているという対比も見事です。
2クロにとっての『計画』の本当の意味の考察

クロは『計画』を待ち続けていたと言っていましたが実際にはどうなんでしょうか、
クロは平和なシロップ村で過ごすうちにシロップ村の人々を愛するようになり次第に考え方が変わっていったのではないでしょうか?
『シロップ村の人も自分の部下も誰にも死んでほしくない』
『でも海軍から追われないように正体を隠し続け平穏に暮らしたい』
『でも部下がならずものとして考えなしに暴れ回り続ければいつかは部下は海軍につかまり処刑されるかもしれないし、そうなると自分の正体がばれてしまうかもしれない』
『正体がばれてしまえば自分は村にはいられないから、部下たちが勝手に暴れずに自分を律することができる『計画』が必要』
当初は村の人が傷つこうがお構いなし自分ひとりだけが生き残り財産を自分が相続して、部下も口封じの為に皆殺しにするつもりだったのかもしれませんが
ヌギレ・ヤイヌを見殺した後悔と、村での穏やかな生活の為にそんな『計画』はもう受け入れることはできそうにありません。
もしかしたら『部下が村に入植して一緒に暮らせるようなクロにとっての理想の計画』がないかクロは思案を重ねたかもしれません
クロ猫海賊団襲撃前夜にメリーさんを襲った時にクロはメリーさんを殺すことができませんでした
その時に自分に芽生えた良心がもう人を殺せなくさせていることに気づいたのかもしれません、自分には海岸で部下を口封じの為に殺すこともできないだろう、と
早朝に村の誰一人も起きていない時間帯にクロ猫海賊団全員を殺害してなにもなかったことにすることもできないので、せめて自分の手ではなく、あくまで仕方なく、という形にこだわったのかもしれません。
あるいはすべてがうまくいく誰も死なない『理想の計画』があったのかもしれませんが、ルフィ達の介入で二転三転していたのかもしれません。
3ウソップとクロ、二人のうそつきの対比

クロとウソップの両者が対峙した最初の瞬間、ウソップは隠れているがクロにはバレている
ウソップの嘘には誰も信じないしウソップ自身も嘘を付いている自覚があるけれど、後々、実現してしまうという、複線になっているという逸話はワンピースの大きな魅力の一つです。
9話から17話ではウソップよりも大嘘つきなクロというキャラクターが対比されていてとてもユニークな構造です。
ウソップの嘘
・海賊のフリをしても誰にも信じてもらえない
クロの嘘
・執事のフリをしてみんなが信じる
本当は二人とも海賊なんですが、、、
ウソップの嘘
・嘘を付くときは自分が嘘を付いているという自覚がある
・嘘だとすぐにバレたり周囲に信じてもらえないことが多い
・その場を盛り上げたり切り抜けるために嘘を言っているつもりが真実を言ってしまうことがある
クロの嘘
・自分の本音をしっかりと隠せるので、クロの本心は読み取ることが難しい、周囲は言葉を信じるしかない
・嘘を付いてもバレない、信じてもらえる
クロとウソップの会話を見てみましょう
クロ『ウソップ君、君の噂はよく聞いているよ、村で評判だからね、いろいろと冒険をしてきたそうじゃないか、その若さで対したもんだ』
ウソップ『あんたも俺をキャプテンウソップと呼んでいいぜ、俺を称えるあまりな』
クロ『キャプテンか、君の父上の話も来てるぞ、君は所詮、薄汚い海賊の息子だ、何をやろうと驚きはしないがうちのお嬢様に近づくのはやめてくれないか』
ウソップ『薄汚いだと』
クロ『君とお嬢様は住む世界が違うんだ目的は金か?いくらほしい』
カヤ『言い過ぎよクラハドール、ウソップさんに謝って』
クロ『こんな野蛮な男に何を謝る必要があるんです、お嬢様、私は真実を述べているだけなんですよ、君には同情するよ、恨んでることだろう、君ら家族を捨て村を飛び出した、家族より財宝が大事な大馬鹿おやじを』
ウソップ『てめぇ、それ以上親父を馬鹿にするな』
クロ『何を無理に熱くなっているんだ、こういう時こそ得意の嘘を付けばいい、本当は親父は樽の商人だとか、実は血が繋がっていないとか』
ウソップ『うるせえ』
クロ『ほら見ろすぐに暴力だ、親父が親父なら息子も息子という訳だ』
ウソップ『だまれ俺は親父が海賊であることを誇りに思っている、勇敢な海の戦士であることを誇りに思っている、お前の言う通り、俺はホラ吹きだがな、俺が海賊の血を引いてる、その誇りだけは偽るわけにはいかねえんだ、俺は海賊の息子だ』
クロ『海賊が勇敢な海の戦士か、ずいぶんとねじ曲がった言い方があるもんだな、だが否めない野蛮な血の証拠が君だ、好き放題にホラを吹いて回り、頭に来ればすぐに暴力、挙句の果てには財産目当てにお嬢様に近づく』(ウソップに向けて言い放った言葉なのに、何故か自分の行いそのままの懺悔になっている)
ウソップ『なんだと、おれは』
クロ『何か企みがあるという理由など、君の父親が海賊であるということで十分だ』
ウソップ『てめぇまだいうのか』
カヤ『やめてウソップさん、悪い人じゃないんですクラハドールは、ただ、ただ私の為を思って過剰になっているだけなの』
クロ『出ていきたまえ、二度とこの屋敷に近づくな』
ウソップ『あぁわかったよ、言われなくても出て行ってやる、もう二度とここには来ねえ』(ウソップは二度と近づかねえと言い放つがピンチには再び現れる)
クロ『こんな野蛮な男に何を謝る必要があるんです、お嬢様、私は真実を述べているだけなんですよ、君には同情するよ、恨んでることだろう、君ら家族を捨て村を飛び出した、家族より財宝が大事な大馬鹿おやじを』(クロは家族を捨て村を飛び出したのかもしれない)
クロ『海賊が勇敢な海の戦士か、ずいぶんとねじ曲がった言い方があるもんだな、だが否めない野蛮な血の証拠が君だ、好き放題にホラを吹いて回り、頭に来ればすぐに暴力、挙句の果てには財産目当てにお嬢様に近づく』
クロ『何か企みがあるという理由など、君の父親が海賊であるということで十分だ』
この三つのセリフはまるでクロがクロ自身のことを説明しているようで、クロにとっての海賊の在り方なのかもしれません、そんな海賊を嫌悪しているというクロは嘘をついてそう言っているのか、本心としてそう言っているのか、作中ではわかりません。そこは読者の想像に委ねられるようになっています、クロという登場人物が特に見せ場になるような目立った活躍をするシーンが少ないのに人気になっているのはこのような奥行きがある登場人物だからなのかもしれません
4ワンピース、9話から17話に見る映像表現、演出面では最高峰のクオリティ
個人的にアニメ9話から17話までのウソップ加入の流れは西部劇やスタンドバイミーのようなビルディングスロマンとしてみれば、他のエピソード以上にとても素晴らしい脚本構成になっていると思っています
しかしそれ以上に圧巻なのは自然に導入されている映像的な演出の数々、このウソップ加入の9話から17話にかけての映像的な演出は非常に洗練されており、演出面においてワンピースアニメ最高峰であり続けるだろうと自分は考えています。

↑ウソップとルフィが出会ったシーンに挿入される引き画のスクロール

↑ウソップの海への想像と

↑海の絵の物撮りの対比

↑さわやかな海と木々の木漏れ日

↑水平線を眺めるクロをパンしていく(パン、カメラの向きを横に動かして画面をスライドさせていく)

↑セリフの応酬とともに登ったり落っこちたりするヤドカリ

↑ジャンゴを舐めてちらちらと太陽の光を見せるショット

↑続けてジャンゴの説明に挿入されるクロネコ海賊団の一枚絵にも太陽の光源があるかのような処理



ルフィの伸ばした腕に乗って走って近づいてくるクロ、ちゃんと一歩ずつ書き込んで作画している

決闘前に風邪で揺らめくマント
ジャンプでの週刊連載物はしばしばアニメ化されます
それぞれの作品ごとに持ち味がありますが、アニメ化された時期によって制作体制や予算は異なり作画にも丁寧な時期があれば時間をかけられない時期もあるでしょう、ワンピースの9話から17話は演出面を漫画以上に強化していく非常に贅沢な作りとなっています!
現実の状況や出来事を意図を用いて操作して例えば演劇を作って、それをカメラで撮影して構成する実写映画では、作者の想像の世界を構成するにあたって現実の在りようをカメラで切り取ることになります。
もしも作者の想像に不足している部分があっても現実が補ってくれます。例えば撮影するシーンの天気などを決めておかなくても、撮影日が来れば勝手にその日の天気が撮影されて絵になってくれます。偶然を取り込んだり偶然をコントロールしたりするのが実写映画なのですが、
アニメで映される絵には現実の干渉がありません、紙やパソコンに人が想像して書いた絵だけで構成されるのがアニメや漫画の世界なのです、作者にはそれだけ想像力が求められるのですが、このウソップ加入時期のアニメではふんだんに演出が加えられており、制作陣がこのワンピース世界を押し広げようとしたこと、西部劇として解釈してそれを昇華させようとしたことが見て取れます。
納期や予算の都合で殴り合いばかりになってしまう週刊少年ジャンプ原作のアニメ群ではありますが、ここまで贅沢にハイエンドにまとめられていることに自分はとても感動しました!(尾田栄一郎氏もドラゴンボールのファンではあったがワンパターンな展開を超えたい、終盤ほど盛り上がる長期連載にしたいと考えられていたそうです)
あとがき(未完)
クロが再登場するなら
複線の一つになるセリフ『おいおい親父が死んだのはマジだぜ』←本当はカヤの親が目的で接近した?